予想通り、先ほど行われた選考会で、
桜庭一樹の「私の男」が直木賞に選ばれたみたいなんですけど、先日書店は行ったとき同書の方が売り切れで、かわりに「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と「少女には向かない職業」を買ったんですよ。
桜庭女史(一樹っていうPNだけど女性ですよ)については2、3日前のエントリーで書いたんで特筆することはないんですけど、この作品、重い。単行本版の方のカバーは割と味気ない感じなんですけど、文庫本はまあライトノベルということもあってかわいらしい女の子2人のイラストのカバーなんですよ。そんなカバーなのに内容の方はかなり痛々しいんで、軽い気持ちで読み始めると1ページ目から目くらましを食らいます。
主人公、山田なぎさは大人として戦うための「実弾」(=生活力)を求めて卒業後に自衛隊に入ることを望む中学生。そのなぎさのクラスに転校して来た海野藻屑は初日に自分のことを「人魚だ」と紹介し話題を集める。実は、彼女は一昔前に流行った二枚目タレントだった。なぎさは、ささいなことから藻屑と関わりを持つようになり、クラスの男子と3人で映画を観に行くことになる。すると、次第に藻屑の家庭の事情が明らかになる。「砂糖菓子の弾丸」しか撃つことができない子供達が抱える問題、未来への不安、そしてそんな状況に逆らいたくても逆らえない葛藤が、悲劇を生む。あらすじを起こすとこんな感じになるといえばなるかな。
ジャンルでいえばミステリーになるのかもしれないが、どちらかといえば「キャッチャーイン・ザ・ライ」のような青春小説と読んだ方がいいかな。でも、子供達にかぎっただけの話ではなくて、周囲の大人や、大人になれなかった人々の話でもあったりする。
文学賞っていうのはあくまで目印になるだけで、特に直木賞とか芥川賞なんかは特定の雑誌に掲載された作品の中から審査員によって選ばれた賞だ、とかよく批判される対象になる。この「砂糖菓子」も、ライトノベルとしてではなく普通の単行本として初版が出ていたら、多分その辺の文学賞の一つや二つ取っていたんじゃないかなと思うし、今回の「私の男」の受賞はまさにその証明ですね。これからも女史の作品には期待したい。